〒150-0012東京都渋谷区広尾5-1-10GSハイム広尾403
Tel.03-6427-1388 Fax.03-3407-9707

 TOP>映像メディア教材
映像メディア教材 カウンセリングツール 医療機関紹介 代理店契約 プレスリリース 会社概要

心理療法システム編
第1巻 マルチモダルセラピー
Multimodal Therapy
アーノルド・ラザルス博士
Arnold A. Lazarus, PhD

監修:S・マーフィ重松(東京大学助教授) 監修・翻訳:岩壁 茂(お茶の水女子大学助教授)
■VHS ■日本語字幕スーパー ■収録時間:42分 ■解説書付

■商品コード:VA-2001 ■¥48,600(税込)
マルチモダルセラピー(MMT)は、行動療法に基礎をおく系統的折衷アプローチである。最も早く効果を上げ、それを最も長いあいだ維持できるように人間の心理的機能と体験の様式(BASIC-ID:行動(Behavior)、感情(Affect)、感覚(Sensation)、イメージ(Imagery)、認知(Cognition)、対人関係(Interpersonal Relationships)、薬物/生物学(Drug/Biology))の諸側面に包括的な働きかけを行う。MMTには、認知療法の認知再構成法、行動療法のリラクゼーション技法、フラッディングなど行動療法の技法だけでなく、ゲシュタルト療法の空の椅子との対話までの技法が取り込まれている。セラピストの注意は、「このクライエントのニーズに応えるには面接のどの段階においてどれほどの方向付けや感情的な援助を与えるべきか?」、「このクライエントとのあいだに治療関係を確立するためにはどのような接近方法をとるべきか?」という技法の適合性に向けられ、クライエントへの接し方が調節される。


解説書の内容

アーノルド・ラザルス博士について

アーノルド・ラザルス博士は、南アフリカ共和国、ヨハネスブルグにあるウィッツウォーターズランド大学(Witwatersrand)より博士号を取得し、6年間個人開業を営んだのちに、アメリカに移住した。スタンフォード大学、テンプル大学医学校、イエール大学、ルトガース大学で教壇に立ち、ルトガース大学では卓越した教授(Distinguished Professor)の称号を1972年に受けた。現在、応用・専門心理学大学院で教鞭を執るかたわら、ニュージャージー州プリンストンで個人開業を営んでいる。また、アメリカ専門誌理学委員会より、心理専門職への優れた貢献に対する表彰(The Distinguished Service Award)、アメリカ外来患者センター協会(The Association of Outpatient Centers of the Americas)より、精神保健への優れた貢献に対する表彰(An Outstanding Contribution to Mental Health Award)、アメリカ心理学会、第29部会より、優れた心理学者への賞などを受けている。



マルチモダルセラピーの概要

マルチモダルセラピーでは、独立しながらも、相互作用関係にある心理的機能と体験の7様式(モード)の全てにおいて査定を行わなければ、治療は重要な問題を見過ごしてしまうという前提が基礎となっている。初期面接とマルチモダル個人歴質問紙を実施することにより、クライエントのBACIC-I.D.(行動[Behavior]、感情[Affect]、感覚[Sensation]、イメージ[Imagery]、認知[Cognition]、対人関係[Interpersonal Relationships]、薬物/生物学[Drug/Biology])という重要な様式の全体像を描く。これら7様式の頭文字をとるBACIC-I.D.という覚えやすい略称になる。これらの様式は相互に作用し、流動的な状態で、複雑につらなる行動や他の心理生理的変化によってつながれている。

マルチモダル・セラピストは、クライエントと協力し、BACIC-I.D.のそれぞれの様式に関わる顕著な問題を特定する。報告された研究データに基づいて可能な限り適切な技法が導かれるが、セラピストは状況に順応し必要に応じて即興的に技法を作る姿勢で治療に臨むことを望まれる。この療法は技法折衷的だが、広く社会学習理論、認知学習の理論(これらの理論的教義は、実証的方法により反証可能であるため)を中心とした理論的な一貫性を維持しており、また基本的に心理教育的であり、多くの心理的問題は、誤った情報や情報の欠如から起こると主張する。よって、多くの患者は選ばれた本を自宅で読む、読書療法が治療過程と治療内容を高めるバネとして使われる。

セラピストはセラピーが一人一人のクライエントのニーズに合うようにたゆまぬ努力をし、有効な技法を幅広く修得するだけでなく、様々なクライエントに対応するために、異なる治療関係の様式が必要であるという事実にも応じることが要される。際限のない暖かさや共感を必要とするクライエントもいれば、より厳格な仕事の関係を好むクライエントもいる。またよい聞き手よりも活発に訓練するような姿勢をとるセラピストを好むクライエントもいればその逆もいる。つまり治療関係は技法が根を張るための土壌となるので、クライエントが対人的にどのような関係性を期待するかを知った上で正しい技法が使われれば、クライエントが治療に留まる可能性が高まり、治療効果も増大すると考えられる。もう一つ注意深い吟味を要する重要な関連事項として、個人療法、夫婦療法、家族療法、集団療法への参加(または、前出の治療との組み合わせ)のどれが適切なのかということがあり、必要に応じて、また可能であれば、クライエントを他の専門家へ紹介する場合もある。



クライエントの素性

■ジム
■年齢:28歳
■性別:男性
■人種:白人
■婚姻関係:未婚
■職業:作家、ウェイター
■教育歴:大学卒
■両親:両親ともに健在
■兄弟:5人の姉、弟1人



関連する出来事

ジムは宴会場でウェイター4人の一団の監督者として働いている。先週、彼の部下のトッドが担当する予定の宴会に遅刻してきたので、ジムが遅刻の理由を尋ねると、彼はルームメートともめているとあいまいな答えしか返さなかった。さらに色々問いただすと、彼は「ジムが詮索しすぎだ」と怒りを爆発させ、グラスやトレイをけちらし、怒鳴り散らして出ていった。結局ジムは3人でその日の作業をまかなうことになったが、スムーズにいかなかった。客はサービスのひどさに不満を感じ、その宴会の主催者は彼の上司の支配人に文句を言った。そして彼は支配人室に呼び出され、自分の指揮するグループの能率が悪いと怒られたあと、もし「しっかりやらない」と監督者から格下げになるぞと警告を与えられた。

ジムは支配人に対して、またトッドに対して怒りを感じた。トッドがこんな問題を起こしたこと、そしてその場から去ってしまったことに傷付いたうえ、支配人とトッドの二人から拒否され、感謝されていないことを実感した。彼は、数ヶ月のあいだ仕事場だけでなく、トッドのプライベートな面でも援助の手を差し伸べており、たとえば、仕事場では不注意のミスをカバーしたり、プライベートではルームメートとの問題についてゆっくり話を聞いて解決策を考えてあげた。

ジムは上司と話したあと何時間も怒りが収まらず、辺りをうろうろ歩き回った。「上司は不公平だ、トッドは感謝の気持ちもない。僕は仕事を失いかねない。なんで皆こんなに不公平なんだ。なんで僕がトッドのことで責められるんだ。トッドはなんで僕があれほどまでに面倒を見てやったことに気付かないんだ。僕は一番すぐれたリーダーなのに、格下げになるかもしれないなんて。」

数時間もこんな風に考えるが、彼は気持ちの切り替えができず、「こう感じるのははじめてのことじゃないな。」という考えが頭から離れなかった。

そして同じような気持ちを体験したことが2度あったのを思い出した。

一度は大学生のころで、勉強グループのメンバーと協力して共同プロジェクトのレポートをまとめようとしていた。彼はグループのリーダーとして提出用の最終版をまとめる係だったのだ。そのときメンバーの一人が彼女ともめていて、自分の担当箇所を書いていなかった。彼はそのメンバーの問題に関して助けてやろうとしたが、そのメンバーは彼が首を突っ込みすぎだと腹を立て、グループを移ってしまった。結局レポートは完成せず、他のメンバーはそれを彼のせいにした。そのうえもう少しで不可をもらうところだった。その結果、彼は傷付き、怒り、裏切られたように感じた。

またジムが高校生のころ、弟と二人、弟はアメリカンフットボールに入ったらいいということで意気投合した。彼は「自分が自動車を運転して弟を練習につれていく」と言って、反対する両親を説得し、弟をチームに入れたのだ。しかしそのあと弟は練習で骨を折って、チームを脱会した。この件で弟は惨めな思いをし、それ以来学校の成績が下がり、授業もさぼりがちになった。ジムの両親は、弟の行動が乱れているのに動揺して、全てを彼のせいにして彼を責めた。両親の言い分は「結局は、ジムが弟にフットボールをやるようにそそのかしたんだ。」だった。彼は混乱した。自分は人助けをして優しくしようと努力しただけなのに、「自分と関係ないこと」で責められた。



これまでの面接の経緯

初回面接のあと、ラザルス博士は、ジムにマルチモダル個人史質問紙(LHI)と自分の著書『一瞬でも信じるな:あなたを悩ませる40の有害な考え』を渡した。彼は次回の面接までにLHIに解答し、『一瞬でも信じるな』で自分にあてはまる部分について考えてくるように言われた。彼はこの二つの要求をどちらもこなした。

第2回目の面接で、二人はLHIの項目でジムが空欄にしたものを見直した。彼は、渡された本が非常に役に立ったと報告した。さらに二人は、本の「有害な考え」で特に他者からの批判や、他者を喜ばせようとする傾向、責任を押し付けられること、「人生は、公平であるべきだ」という考えなどについて話し合い、有害な考え23番「自分勝手はいけない:人のことを先に考えろ」について焦点を当てることにした。そこで彼は、「自分を解放し、活力を得る」という名前の自叙伝療法を見つけたと博士に伝えた。

第2回面接の終わりに博士は、ジムが他の人を喜ばせて、彼等の手助けをしたいがために、他の人のプライベートな部分を詮索しすぎることが実際にあったことを指摘した。たとえば大学では、勉強会グループの「カウンセラー」に自分自身を任命したが、その結果得たのはメンバーの一人を怒らせただけだった。同じく仕事場では、トッドのルームメートとの問題を聞いたあと、ただ放っておくことも自分にできることはないかと尋ねることもできたのに、結局入り込み過ぎて煮え湯に足を突っ込む結果となったのだった。

博士は、次回の面接(収録された面接)ではじめの2回でまだ十分に触れていないことを細かく見直したあと、BACIC-I.D.査定法がより包括的な査定と問題解決志向の心理療法の土台を準備するか例解している。



第3回面接

ビデオに収録

ホームーページより御購入
PDF形式(10k)をダウンロードし、FAXにて御購入



Copyright (C) Japan Institute for Psychotherapy. All Rights Reserved.